お月見と万葉の草花 2022.9.10
月齢14.2
月の出 18:19
月の入り 4:22
満月 18:58
今日の草花 『桂』
「黄葉(もみぢ)する
時になるらし月人の
楓(かつら)の枝の 色付く見れば
巻十 2302 詠み人しらず
“黄葉する季節になったようです。
月に生えた桂の木が
色付いた様子を見ていると”
万葉の時代には
月に桂の木が生えていると
思われていて
月の世界の現象が、露や霜を伝って
下界にも及んでいるという
発想があったとのこと。
秋の澄み渡る空と月と桂の木。
しみじみと美しい光景です。
今夜は雲まで照らす
輝くばかりの十五夜
空を見上げている方も
多い事でしょう。
雲の上のお月様を
想像していらっしゃる方も
いらっしゃるかもしれません。
お月見と万葉の草花
ひとまず、最終回です。
時空を越えて
皆さんと万葉の人々と共に
お月見をしながら
どうぞ、良い夜を…
お月見と万葉の草花 2022.9.9
月齢13.1
月の出 17:47
月の入り 3:28
今日の草花 『桔梗』
「朝顔は 朝露負日て咲くといえど
夕影にこそ咲きまさりけれ」
巻十 2104 詠み人しらず
“朝顔は朝露を受けて咲くと言うけれど
夕方の薄暗い光の中でこそ
輝いて見える”
朝顔が夕方こそ輝いて見えるなんて
珍しい朝顔ですね….
という話しではないようです。
『朝顔』は
「秋の七草」として山上憶良の
歌にも出て来ます。
「秋の野に 咲きたる花を 指折りかき
数降れば 七種の花」
「萩の花 尾花 葛花 撫子の花
女郎花 また藤袴 朝顔の花」
巻八 1557 1538
今で言う『朝顔』は
奈良時代末期か、平安時代に
中国からもたらされた帰化植物。
仮に、奈良時代末期に
入って来たとしても
山上憶良が秋の野原代表的な草花として
詠むには不自然。
901年頃の 日本で最初の漢和辞典
「新選字鏡」の中の
「桔梗」の説明に「阿佐加保」とある
ことからも
この時代の「朝顔」は「桔梗」
の事を指す説が有力です。
昼顔、木槿説もあるそうですが
薄暗い光の中でこそ美しい…のは
私も やはり桔梗かなと思います。
お月様をほとんど拝めないうちに
明日は十五夜です。
月の美しい夜が恋しくなって来ました。
それでは、また、明日に願いを込めて。
お月見と万葉の草花 2022.9.9
月齢13.1
月の出 17:47
月の入り 3:28
今日の草花 『桔梗』
「朝顔は 朝露負日て咲くといえど
夕影にこそ咲きまさりけれ」
巻十 2104 詠み人しらず
“朝顔は朝露を受けて咲くと言うけれど
夕方の薄暗い光の中でこそ
輝いて見える”
朝顔が夕方こそ輝いて見えるなんて
珍しい朝顔ですね….
という話しではないようです。
『朝顔』は
「秋の七草」として山上憶良の
歌にも出て来ます。
「秋の野に 咲きたる花を 指折りかき
数降れば 七種の花」
「萩の花 尾花 葛花 撫子の花
女郎花 また藤袴 朝顔の花」
巻八 1557 1538
今で言う『朝顔』は
奈良時代末期か、平安時代に
中国からもたらされた帰化植物。
仮に、奈良時代末期に
入って来たとしても
山上憶良が秋の野原代表的な草花として
詠むには不自然。
901年頃の 日本で最初の漢和辞典
「新選字鏡」の中の
「桔梗」の説明に「阿佐加保」とある
ことからも
この時代の「朝顔」は「桔梗」
の事を指す説が有力です。
昼顔、木槿説もあるそうですが
薄暗い光の中でこそ美しい…のは
私も やはり桔梗かなと思います。
お月様をほとんど拝めないうちに
明日は十五夜です。
月の美しい夜が恋しくなって来ました。
それでは、また、明日に願いを込めて。
お月見と万葉の草花 2022.9.8
月齢12.0
月の出 17:10
月の入り 2:13
今日の草花 『力芝』
「たち変わり 古き都となりぬれば
道の芝草 長く生にけり」
第6 1048 田辺福麻呂
“あんなに繁栄していた昔と変わって
今は、故京となってしまったので
道の芝草も こんなに長く
生い茂っている”
30年余り続いた平城の都から
740年 聖武天皇は京都南部の恭仁宮の
造営に着手します。
通る人もなくさびれていく平城京を
悲しんで詠んだ歌です。
芝草は、今は「力芝」を指しますが
この歌では、一般的な草なのかどうか
よく分かっていないそうです。
力芝は、それほど背丈は高くないので
私としては
一般的な草のことでは?と思っています。
わびしさが手に取るように伝わりますね。
こちらは、今日も降ったり止んだり…
服装にも悩みます。
寒暖差、激しいので
皆さんもご体調崩されないよう
お気を付け下さいね。
それでは、また、明日。
お月見と万葉の草花 2022.9.7
月齢11.1
月の出 16:26
月の入り 0:59
今日の草花 『韮』
「伎波都久(きはつく)の
丘の茎韮(くくみら) 我れ摘めど
籠(こ)に満(み) たなふ
背(せ)なと摘まさね」
巻十四 3444 東歌
“伎波都久の丘で韮を摘むのだけれど
ちっともカゴいっぱいにならないわ。
それなら、あなたの旦那様とお摘みなさいな」
この句も
昨日「稲」でご紹介したのと同じように
働きながら歌う労働歌です。
少し囃し立てるような
イメージが浮かびます。
働く時には、
辛い時も、楽しい時もあるけれど
歌を口ずさみながら手仕事する時があるのは
今も昔も、あまり変わりはないですね。
私も今日は、
紫陽花アナベルの
ワイヤリングをしましたが
どちらかと言うと
二拍子や四拍子の曲より
三拍子の曲を口ずさんでワイヤリングした方が
上手に出来るような気がしました(笑)
紫陽花など
ワイヤリングする機会のある方
お試し下さい。
夏と秋の空気が押し合っているのか
雲が多くて
今夜もお月様は見えず….
十五夜まであと三日。
お月様、
もうだいぶ大きくなっていることでしょう。
それでは、また、明日。
お月見と万葉の草花 2022.9.6
月齢10.0
月の出 15:33
月の入り —
今日の草花 『稲』
「稲つけば
かかる我が手を 今夜も
か殿の若子が取りて嘆かむ」
第ニ 114 東歌
“稲をついて 荒れた私の手を取って
今夜も また お屋敷の若様が
嘆くことであろうよ”
万葉の時代には
食事の度に杵と臼を使って
籾摺り、精米をしていたとのこと。
かなりの重労働だったことでしょう。
この歌は、
労働の時に歌う労働歌とされています。
「いつか王子様が…. 万葉集版」
のようです。
水田にはたわわに稲の穂も実り
今年も収穫の季節。
美味しいお米を
毎日頂けるのは
当たり前ではないのですね。
感謝です。
今日は、台風の影響で風も強く
暑い一日でした。
今は、穏やかになりましたが
お月様は見えません。
これからは、一晩中お月様は
空に居るので、気長に待ちましょう。
それでは、また、明日。
お月見と万葉の草花 2022.9.5
月齢9.0
月の出 14:31
月の入り 23:51
今日の草花 『撫子』
「一本(ひともと)の
なでしこ植えし その心
誰に見せむと 思いそめけむ」
第十八 4070 大伴家持
“一本のなでしこを植えたのは
誰に見せようと思って植えたのでしょう
(あなたに見せようと思って植えたのです)”
万葉集の編纂にも関わったとされる
大伴家持は
ナデシコが大好きだったようで
万葉集の中には
家持が詠んだり、家持に贈られたりした
ナデシコの句が数多くあります。
今夜は ようやく
晴れた空をお月様が
ゆっくり西へと移っていく様子を
眺めています。
皆さんのところはいかがでしょうか。
それでは、また明日。
お月見と万葉の草花 2022.9.4
月齢8.2
月の出 13:23
月の入り 22:52
今日の草花 『ヒヨドリバナ』
「この里は
継ぎて霜や置く 夏の野に
我が見し草は もみちたりけり」
第十九 4268 孝謙天皇
“この里は
いつも霜が降りるのでしょうか。
夏の野で 私が見た草は
色付いていました”
この句は、752年
東大寺大仏開眼供養の行事後に
孝謙天皇が平城京の藤原仲麻呂の屋敷に
立ち寄った時に見かけた
「澤蘭」(さはあららぎ)を見て
詠まれたものです。
澤蘭は、
なんの種類かはっきりしていないそうですが
ヒヨドリバナはウィルスに感染すると、
葉が黄化症状を起こすので
その事を指していると。
世界最古の
植物ウィルスの記録とされています。
雲が多くて
今夜も月は見えません。
それでも、月が出ているかな?
と外に出てみれば
風がひんやりと涼しく
秋の虫の演奏会が耳に心地良いです。
自然の音は良いですね。
台風に近い地域の皆さん
お気を付けてお過ごし下さい。
それでは、また、明日。
お月見と万葉の草花 2022.9.3
月齢7.0
月の出 12:12
月の入り 22:03
今日の草花 『女郎花』
「をみなえし
秋萩手折れ玉鉾(たまほこ)の
道行苞(みちゆきづと)と乞はむ
児のため」
第八 1534 石川朝臣老夫
“オミナエシと萩を手折っておいで
旅のみやげを願う児の為に”
主人が、お付きの人に
呼び掛けていると思われる句です。
主人の心の内までは
分かりませんが
萩と女郎花が野に
たくさん咲いていたであろうこと
萩とオミナエシの組み合わせは
素朴で秋らしく可憐なことは
イメージ出来ます。
女郎花、
画像は公園で育てられているものです。
そう言えば、二十年前位は
もっと野で自生する
オミナエシがあったような記憶があります。
今から千三百年後の人々は
野に咲く女郎花を
見る事が叶うでしょうか。
少し心配になって来ました。
晴れていたら
ほぼ半月のお月様。
女郎花色のお月様も
早く見たいものです。
それでは、また、明日。
お月見と万葉の草花 2022.9.2
月齢5.8
月の出 11:02
月の入り 21:24
今日の草花 『葛』
「真葛原(まくずはら) 靡(なび)く秋風
吹くごとに 阿太(あだ)の大野の萩の花散る」
第十巻 2096 詠人知らず
“葛野原をなびかせる
秋風が吹く度に
阿太の荒れ野の萩の花が散ります”
今頃より、もう少し秋が進んで
爽やかな秋風がさーっと葛をなびかせて
萩の花びらがパラパラと散る映像が
見えるような句です。
今日は川原へ草花摘みに行きました
葛の野原もあちらこちらに。
大きな葉に隠れがちですが
紫の香りの良い花が咲く時期です。
私は、とても気品のある花だと思うのですが
皆さんはどうでしょうか?
夕方より強い雨。
今夜のお月見は残念ながら諦めモードです。
かなり降っている地域もあるようですね。
どうぞ、お気を付けて。
それでは、また、明日
お月見と万葉の草花 2022.9.1
月齢4.6
月の出 9:54
月の入り 20:51
今日の草花 『露草』
「朝露に 咲きすさびたる月草の
日くたつなへに 消ぬべく思ほゆ」
第十巻 2281 詠人知らず
“朝露をうけて咲いていた月草(露草)が
日が暮れるにつれてしぼんでゆくように
あなたを待っている私の心も
消え入りそうになります”
青く小さな花を咲かせる露草は
朝に咲き夕方にはしぼむ一日花。
月草、蛍草とも呼ばれ
衣を青く染めるのにも使われていました。
万葉の人々は、この花に
儚さ、移ろいやすさを感じていたようで
露草を詠った9首はいずれも恋の歌です。
台風の被害の方も出ているようですが
お住まいの地域は大丈夫でしょうか?
こちらも昼は雷雨で
お月様はとても望めないと思っていましたが
夕方雨が止み
優しい月の光を見ることが出来ました。
どうぞ良い夜を。
それでは、また、明日
お月見と万葉の草花 2022.8.31
月齢3.8
月の出 8:50
月の入り 20:22
今日の草花 『桜』(ウワミズザクラ)
長歌の冒頭部分
「あぢさはふ 妹が目離れて しきたへの
枕もまかず 桜皮(かには)巻き 作れる舟に
真楫(まかぢ)貫き 我が漕ぎくれば…..」
第6巻 0942 山部赤人
“遠く離れて妻を見る事もできず
枕を交わすこともなく
桜の樹皮を巻いて作った舟に
櫂を通して 我らが漕いで来ると….”
長い歌なので途中までですが
舟から見える島々や浦、故郷の方向
そういう景色を詠みながら
旅の途中でも妻のことばかり思って来た
というような歌です。
桜皮細工と言えば秋田県が有名ですね。
山桜の皮は古代から
様々に利用されて来ました。
画像はウワミズザクラの実
熟す前と後と
実の色が様々に色付いています。
ようやく今日の夕方
西の空に浮かぶ
お月様に会えました!
金色の舟のような
美しいお月様でしたよ。
皆さんの場所からは
見えたでしょうか?
8月も終わりますね。
それでは、また明日。