「編むことで癒される」花のモチーフから始まった、編み物作家uzu.先生の歩み
2025/07/25

明るくやさしい色づかい。ふんわりとした糸のぬくもりが、まるで春の陽だまりのような気持ちにさせてくれる。人気の編み物作家 uzu.先生が作る作品には、そんなやわらかさがにじみ出ています。
FANTISTでも29本の動画レッスンを出品し、国内外のファンから支持を集めているuzu.先生に、編み物をはじめたきっかけから、動画レッスンへの想い、そして“編むこと”そのものに対する魅力まで、uzu.先生の編み物に込められた想いをうかがいました。
uzu.先生の心を癒した、カラフルな「花のモチーフ」
ーーuzu.先生が編み物を始めたきっかけを教えてください。
10年くらい前に体調を崩して、それまでの外に出て働いていた生活が一転し家で過ごす時間が増えたんです。家にいても何もできなくて、ぼーっと過ごすことしかできない状態の私を心配した母から、「編み物してみたら?」と毛糸と一冊の編み物本を渡されて。
母は元々趣味で編み物をしていて、私も幼い頃は母が編んだ手編みのセーターを着たりしていたんです。母の影響もあって子どもの頃に少しだけ編んだこともありましたが、最後まで仕上げた記憶がなく……途中まで編んだものを母にバトンタッチして続きを編んでもらって、というような感じで(笑)、特に熱中することはありませんでした。
でもその時は母からの提案に「久しぶりに編んでみようかな」という気持ちになって、渡された編み物本をパラパラ見ていると、花のモチーフのブランケットに目を奪われました。私はお花が好きでしたし、そのブランケットを見て「これを作ってみたい」と思ったんです。

そこから、ただひたすら花のモチーフを編み続けました。「暗い色ではなく、明るい色の毛糸で編みなさい」という母のアドバイスから、カラフルな毛糸を使って、とにかく無心で何も考えずに集中して花のモチーフをいくつも編むうちに、まるで作業療法みたいにどんどん癒されていくのを感じました。
ーー編む時間がuzu.先生を癒してくれたんですね……! Instagramへの投稿も同時期にはじめたのですか?
もともとInstagramには、インテリアや日常のちょっとした写真を投稿していたんです。でも編み物を始めてからは、せっかくだから完成した作品も載せてみようかなと思って、自分で編んだコースターや小物を投稿するようになっていきました。

そのうちに見てくださる方もだんだん増えてきて、「作品販売していますか?」「編んでほしいです!」というコメントをいただくようになって……そこから少しずつ販売を始めました。
初心者でも編める、シンプルで簡単な編み方を提案
ーーFANTISTで動画レッスンを始めたのはどのようなきっかけだったのでしょう?
Instagramのインスタライブで”編み方”を配信するようになって、それをFANTISTの方が見つけてくださったのが最初でした。「動画レッスンを出してみませんか?」とお声がけいただいたんですが、最初は「この動画にお金を払ってくださる方なんていない」と思って、お断りしようとしていたんです(笑)。ほかの先生方のレッスン動画は本格的でとてもクオリティが高くて、私はただライブ感のある動画を配信していただけだったので、「こんな内容でいいのかな…?」と正直不安でした。
でも、FANTISTのスタッフさんが「そのままで大丈夫です。ライブの雰囲気をそのまま動画にしてください」と言ってくださって、撮影の仕方や編集のこともすごく丁寧に教えていただけたので、思いきって挑戦してみました。
ーーFANTISTを実際に利用されてどのように感じましたか?
動画撮影や動画編集は初めての経験でしたが、FANTISTさんのサポートもあって、思っていたよりも全然すんなりと作れました。FANTISTは自分のペースで動画を出せるのがとてもありがたいです。「この日に出さなきゃ」というような締め切りもないので、自分のタイミングで進められるところが私に合っているなと感じています。あとは報酬の仕組みがシンプルでわかりやすいところも、活動の納得感につながっています。
それから、私のInstagramのフォロワーさんは海外の方も多くて、「編み方を知りたい」「パターンがほしい」とコメントをもらうこともあるのですが、そういうときに「ここで動画レッスンが見られますよ」とFANTISTのページをご案内できるので、すごく助かっているんです。

レッスン動画を出品してうれしかったこともあって、これまで「花びらコースター」を購入くださっていたお客様たちが、今度はFANTISTの動画レッスンを見て、ご自身で編まれるようになったんです。Instagramにも「できました!」「かわいく仕上がりました!」って投稿してくださっていて……。私が一番始めに作った代表作品として思い入れのある「花びらコースター」がこういう形で広まっていくこともうれしかったですね。
ーーuzu.先生は小物系アイテムの編み方を多くレッスンされていますが、ウェアのレッスンも大人気ですよね。
私は小物を編むのが得意で、ウェアを編むのは難しくて無理だと思っていたのですが、あるとき「シンプルにまっすぐ編む方法でもウェアができあがるな」と気が付いて編み始めたんです。「ニットキャミソール」が特に人気なのですが、本当に簡単な編み方なのでレッスンを見ていただいたら初心者の方でもウェアが完成できると思います。
作品の完成よりも、編んでいる時間が宝物
ーーuzu.先生にとって、編み物のいちばんの魅力って何でしょう?
もちろん、作品が完成したときの達成感はあるんですけど、私はそれ以上に「編んでいる時間」が好きなんです。極端なことを言えば、作品が出来上がらなくてもいいくらい(笑)。無心で手を動かしている時間は本当に癒されるし、穏やかな気持ちになれるんです。実際、”編み物セラピー”という療法も存在していて、私自身も編みながら眠くなることもあるんです。
私は「絶対こうじゃなきゃダメ!」と縛られるのは好きじゃなくて、自由に楽しむことができるのも編み物のいいところだと思います。多少間違っていても、それが味になったり、個性になったり。“楽しんで編む”ことを大切にしています。

編み物は製図(編み図)があるので「計算ができないと編めない」と言われたこともありますが、私は計算が苦手で(笑)。いつも製図からではなくイメージから適当に編み始めて、編みながら「どうしようかな~」と考えて作っていく感じなんです。効率は良くないけれど、常に編み図を見ながら編むのはしんどいですし、この方法でも作品は作れますし、それくらい気楽で良いと思うんですよね。
あとは、間違えたら糸をほどいて何度でもやり直せるのも編み物の魅力ですね。
ーー先生が開催されている「編み会」ではどのようなレッスンをされているんですか?
不定期ではあるんですけど、少人数で集まっておしゃべりしながら編み物を楽しむ「編み会」を開催しています。3〜4人くらいで集まって、「今こんなの編んでるよ」「この糸かわいいね」って話しながら、のんびり手を動かす時間です。

いわゆる“レッスン”という感じではなくて、みんなで集まって楽しく過ごすのが目的。私自身もこの時間がすごく癒しで、ついつい時間を忘れてしまうこともあります。
ーーこれからの活動について、考えていることはありますか?
実はこれまで、「こうなりたい!」とか「これをやりたい!」って明確に決めて進んできたことがほとんどなくて。なんとなく流れに任せていたら、気づいたら今の形になっていた……という感じなんです。でも、それが私に合っていたのかもしれません。
受講いただいた方から「作品が出来上がりました!」「かわいく作れました!」という声をもらえるのがうれしくて、これからも求めてくださる方がいるうちは、無理のないペースで続けていけたらなと思っています。
私は本当にひとりでは何もできないので、声をかけてくださったFANTISTのスタッフさんや、応援してくださるフォロワーさん、作品を手に取ってくださる方がいて、今の自分があるんだなって、いつも感謝しています。
プロフィール
uzu.
編み物作家、日本ヴォーグ社認定講師。かぎ針編みの小物作品を多く手掛けており、中でも「花びらコースター」は代表作品として多くの人に愛されている。FANTISTでは「かぎ針編み 松編みスヌードの作り方」や「かぎ針編み リストウォーマーの編み方【PDF編み図付】」など、初心者でもチャレンジしやすい魅力的なアイテムの講座を開講している。
uzu.先生に学ぶ
編み物レッスン
初心者の方も作りやすいシンプルな編み方を学べる29のレッスンを開講中。コースター、ブランケット、ニッタオルといった小物アイテムのほか、ニットキャミソールやカーディガンなどのウェアアイテムの講座まで豊富に撮り揃う。
