10年続くアロマ教室の原点は、わが子との日々 - 小川高根先生が伝えるアロマの魅力

2025/07/01

アロマの香りには、私たちの心と体に静かに寄り添い、整えてくれる力があります。今回ご紹介するのは、「吉祥寺アロマ & ハーブ教室 ボタニカルガーデン」を主宰し、複数の専門資格を持つ小川高根先生。アロマと真摯に向き合ってきた小川先生の歩みと、レッスンに込める想い、そして未来への展望をうかがいました。

アロマとの出会いは「嗅覚過敏の息子」がきっかけだった

ーーまずはじめに、小川先生がアロマテラピーに出会ったきっかけを教えてください。

子どもの存在がきっかけでした。私は結婚後、夫の海外留学で3年ほどアメリカで過ごしていたのですが、その間に男の子を出産しました。息子は幼い頃から感覚過敏に悩まされていて、中でも嗅覚が特に敏感でした。一緒にレストランに行くと食器やカトラリーの匂いが気になって食事ができなかったり、近所を散歩していても街の匂いに反応してしまったり…。

そんな様子を目の当たりにする中、息子が少しでも楽になる方法はないかと色々調べるうちに、インターネットでメディカルアロマを知りました。同じ嗅覚過敏の子を持つ親御さんが「メディカルアロマでうちの子がすごく楽になった」と発信しているのを目にして「これだ!」と思い勉強しはじめたんです。

ーー息子さんがきっかけだったのですね。実際にやってみて効果は感じられましたか?

いざ学び始めて暮らしにアロマを取り入れると、子どもだけでなく私自身も元気になっていくのを体感しました。子育てへの不安を抱えながらも「なんとかしたい!」という一心で走り続けていくうちに、いつの間にか心身のバランスを崩していたのかもしれません。元気になって初めて「私こんなに疲れてたんだ」と気が付きました。私も息子もアロマテラピーにすごく救われて、その魅力にどんどんはまっていきました。

ちょうどその時、知り合いのお母さんに「メディカルアロマがうちの子にすごく良かったよ」という話をしたら「私たちにも教えてほしい」となって、初めてワークショップを開くことになったんです。

初めてのワークショップで見えた”伝える”ことの楽しさ

ーー初めてということで、ワークショップは少人数で開催したんですか?

参加人数は25人くらいだったと思います。「アロマハンドトリートメント講座」を開催したのですが、それがとても好評で「楽しい」という感想をたくさんいただきました。それまで私自身もアロマの効果を実感していましたが、みなさんの反応を見て改めてアロマの力を感じるとともに、受講者の方々から反応をもらうことに手応えややりがいを感じました。

さらに「アロマテラピーをもっと勉強したい」と言ってくれる方もいて、もっと長期的且つ実践的に学べる講座を作って教えたいと考えたのが「吉祥寺アロマ&ハーブ教室 ボタニカルガーデン」を始めたきっかけでした。

ーー初めてのワークショップをきっかけにご自身で教室を開講される先生の行動力がすごいです...!

最初は細々とやるイメージで始めたのですが、口コミなどで広がっていてもうすぐ10年になります。

ーー先生の講座を受講される生徒の方は、どういった方が多いんですか?

自律神経の乱れやストレスといったご自身の不調にアロマでセルフケアをしたい方、子育てが落ち着き時間の余裕が生まれ、暮らしの中でアロマを楽しみたい方、アロマを学んで仕事に活かしたい方など、世代や生活環境などによりさまざまな目的を持った方が受講されています。

ーー仕事に活かしたいという方はどのような職業の方がいらっしゃるんでしょうか。

訪問看護の際に患者さんの好きな香りでリラックスしてもらいたいという看護師の方や、ご自身のお店をアロマの香りで素敵な空間にしたいというネイリストの方、アロマをきちんと学んでお客様に提案したいというセラピストの方など、色々な職種の方がいらっしゃいます。上級クラスになると、アロマテラピーの教室を開きたいという方もいらっしゃいますよ。

動画で手元がわかりやすい、アロマの基本が学べる入門講座

ーーFANTISTでは「はじめてのアロマクラフト入門コース」という講座を監修いただいていますが、どういった方におすすめですか?

私が普段教えているのは資格講座がメインなのですが、もう少し前段階の「アロマに興味があるけど何から始めていいかがわからない」という方におすすめな内容になっています。

全くの初心者の方も植物やアロマの楽しさを感じられるよう、できるだけ身近で扱いやすい材料を選んでいて、クラフトづくりを通してアロマの基本的な使い方や使い方のポイントを自然に学べるように意識しました。

また、遠方で教室に通うのが難しい方、自宅で学びたい方にも良いですよね。動画なので手元の動きがわかりやすいですし、分からなければ何度も見返せるので自分のペースで学習がしやすいと思います。

ーー先生が講師として受講者さんに伝えたいのはどのようなことですか?

日々忙しすぎて余白の時間を持てない方が多いと思うのですが、アロマテラピーを通して、自分自身と向き合う穏やかな時間を持つ方が増えたらうれしいです。人間の五感の中で嗅覚は唯一本能に伝達することがわかっていて、感じた香りは約0.2秒で脳に届くといわれているんです。一瞬でも香りに触れる時間が、心が整うきっかけになったりするんですよね。

実際に生徒さんの様子を見ていても、レッスンが始まったときと終わるときで明らかに表情が変わっているんです。明るく元気になって笑顔で帰られる皆さんの顔を見ながら、香りが人にもたらす力ってすごいなと日々感じます。

ただ効果が高い分、使い方を学ぶことがとても大事なんです。手軽に始められることもあり、正しい情報を持たずに誤った使い方をして皮膚トラブルが起きてしまうケースなども増えています。基本のルールを知って安心安全に使うことが大切です。

ーー先生は教室を始めてもうすぐ10年経つとうかがいました。先生のように教室を持ちたいという方にアドバイスをいただきたいです。

アロマ業界はチャレンジする方がとても多いのですが、せっかく勉強をして資格を取っても諦めてしまう方も多いんですよね。だからまずは諦めないことが大切だと思います。そして、生徒さんを大事にすることもポイントかもしれません。例えば私は、普段の講座以外にも定期的にイベントを開催したり、月1回お便りのメールを送るなど、生徒さんや卒業生の方とのつながりを意識しています。

それにより、私とみなさんとの関係性ができるだけでなく、卒業生を交えた生徒さん同士の関係性も育まれていくんです。アロマや植物が好きという共通点をきっかけに、友だちとしての輪が広がっていって…この間は生徒さん同士で植物園に行ってきたと聞きました。私が卒業した学校にはそういったコミュニティはなくて少し寂しさを感じていたので、自分の教室はそういう場にしたいという思いがありました。

ーー最後に、先生の今後の目標を教えてください。

香りを通じて、日々たくさんのことを抱えている方の心が少しでもほぐれるようなサポートをしていきたいです。特に、発達に特性のあるお子さんを育てている方に向けて、お母さん向けのワークショップだったり、ハンドトリートメントのボランティアだったり、香りの力を届ける活動を形にしていけたらと思っています。

プロフィール

小川高根

吉祥寺アロマとハーブの教室「Botanical Garden」を主宰。 フランス式のメディカルアロマを得意とする。全国からも多くの方が学びに訪れ、これまで受講者は500名以上にのぼる。全国でも数少ないナード・アロマテラピー協会の最高峰資格である「NARD JAPAN認定 アロマ・トレーナー」を保有。

小川高根先生に学ぶ
アロマクラフト入門コースレッスン

「アロマクラフト」の基本と実践スキルを学べる入門コース。精油の使い方やブレンドの仕方などの基礎知識から、アイテム作りなどの実践テクニックまで、アロマクラフトの基本を幅広く学べる。

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著者

早乙女さき(FANTIST編集部)

住宅情報誌の編集、ライフスタイル系WEBメディアの編集・ライターを経て、FANTISTに入社。動画レッスンに関する取材やインタビューを通して、学びの魅力を発信しています。