専業主婦からカメラマンに ー 独学で道を切り開いた今井しのぶさんの挑戦とは
2025/06/13

写真家として活動するかたわらフォトグラファー養成スクールを運営、カメラノウハウを伝える著書も多数出版するなど、幅広く活動する今井しのぶさん。
FANTISTでも「プロに教わる商品撮影テクニック実践コース - スマホ撮影編 -」「ひと目で惹きつける!アクセサリー撮影実践コース - スマホ撮影編 - 」など、わかりやすくてすぐ実践できるノウハウが詰まった動画レッスンを発信しています。
今回のインタビューでは、写真家としてのこれまでの歩み、写真技術を伝える活動に感じるやりがいなどお話しいただきました。新たなチャレンジをしたいと思いながら迷っている人の背中を押してくれる、ポジティブなメッセージが満載です!
家にあった夫のコンデジがカメラのスタート
ーー今井先生はご自身のホームページ「こどもとかめら」で、専業主婦からキャリアをスタートされたと書かれています。写真を撮りはじめたのは、どんなきっかけだったのでしょうか?
今はもう大きいんですけど、成人した娘と高校2年生の娘がいまして。長女が生まれてからカメラが家にずっとあったんです。旦那のカメラだったんですけど、それで成長記録を撮りはじめました。次女が生まれて、より本格的に「子どもをかわいく撮りたい」と思うようになって、インターネットや本を見たり、独学で撮り続けていった感じですね。
最初はコンパクトデジタルカメラで撮っていましたが、当時旦那もカメラが趣味だったこともあって、一眼レフカメラを購入したんです。彼は土日ぐらいしか使わなかったので、私の方が日常的に持ち歩いて撮るようになりました。
ーー今でこそ本格的なカメラを持つ女性向けの情報がたくさんありますが、少し前までは少なかったかと…プロとして活動するまで完全に独学というのは、相当大変だったのでは?
そうですね。写真学校のように長期間通い続けるスタイルの学校は子連れではいけないですし、カメラのワークショップとかも全然なかったので独学で学んでました。当時はまだ「カメラ女子」が増える前だったのですが、一眼レフカメラを持ってる友達が一人いて、彼女と一緒に子どもを撮りに行こう、というようなことをやっていました。今でいう「写活」ですね。
またその頃、「こどもとかめら」というタイトルのブログも始めました。自分が学んだことをアウトプットする形でフォトポイント的な内容を1日1本アップするようにしていたら、「教えてほしい」という声がだんだん増えてきたんです。「みんなでワイワイできたら楽しいよね」ということで、ママに向けたフォトレッスンをスタートしました。子どもを連れて公園かどこかに遊びに行く時に趣味で撮っていた感じですね。

そのうちに、『女子カメラ』や『写ガール』など女性向けのカメラ雑誌が増えてきたんです。そうした雑誌を読みながら、雑誌が主催していたフォトコンテストに応募をしていました。それが楽しみになって毎月のように応募していたら、あるコンテストで最優秀賞をもらって海外に行ったり…。そのころからぐっとのめり込んでいった気がします。
ーーフォトコンテストで最優秀賞!すごい!そこまで夢中になったのは、趣味から仕事にしたいというモチベーションがあったのでしょうか?
みんなに見てもらって「褒められたい」っていう、(原動力は)そこからですね。「すごいね」って言ってもらえたら嬉しくて、もっともっと頑張ろうって。ブログの「いいね」とかコメント欄からの反応でモチベーションアップもしていきました。発信は主にインターネットだったので、ママ友やご近所の方は私が写真をやっていることは知らなかったと思います。
お菓子教室をしていた知人の影響で、フォトレッスンにチャレンジ
ーーそこからはどのようにお仕事の幅が広がっていったんでしょうか?
「カメラが好きなママ」として「ヒルナンデス」という番組で特集していただいたんです。40分間オードリーのお二人に写真の撮り方を教える、というもので、一気に認知度が上がりました。
ーー40分間!? そんないきなり、どうしたらヒルナンデスのお話が…?
やっぱりブログだったみたいです。ネタを検索している時にブログを見つけてくれたみたいで。その当時はすでにフォトレッスンをして、人に教えることはしていたので。
ーーやっぱりアウトプットしていくことは重要ですね…! 一番最初に先生としての「お仕事」をしたのは、いつだったんですか?
初めてのフォトレッスンは、カメラを触り始めて5年ほど経った頃でした。ちょっと勇気を出してブログで「フォトレッスンします!」って書いてみたんです。そうしたら4人の枠がすぐに埋まったんですよね。参加費は確か3000円だったと思います。

ーー何人ぐらいの規模だったら教えられるんだろうとか組み立て方がわからなくて悩んだり、わからないから結局ドキドキして始められない、と二の足を踏んでしまったりするかと思うのですが、今井先生はどのように設定を考えたのですか?
元々知り合いに、お菓子教室をやっている方がいたんです。それがすごく楽しそうで…なにか私もやってみたいなと思って。私が教えられることはカメラだったからやってみたというのがあるんです。そのお菓子教室の定員が、ちょうど4人だったんですね。
ーーカメラを始めたきっかけからお仕事の最初のきっかけまで、今井先生はすぐそばにお友達がいらっしゃって、そこから自分なりに吸収してステップを上げてきた…ということなんですね。
そうですね、たまたま近くにいるとか、知り合ったりとか、見本となる方がいらっしゃって。
ーーでも、「私もやってみよう」「やれるかも」って行動に移せるのは、先生のポジティブさから来ている気がします…!素敵です。見習いたい!(笑)
そうなんです。旦那は、そんな独学のカメラの知識で先生をやろうなんて信じらんない、って言ってました(笑)最初はカメラのマニュアル操作とかもわからなくって。それでもフォトレッスンをスタートしちゃったんですよね。そうすると、やっぱりレベルが高い方が来るじゃないですか。そうしたら、逆に「よく知ってますね!教えてください!」…みたいな(笑)機種とかわからなかったりして、たまたまその人が詳しかったらちょっと教えてもらったり。
ーー先生と生徒というよりは、みんなで学び合おうみたいな感じですね。
私が先生として教えるというよりかは、みんなでグループで楽しく過ごす感じだったと思います。
ーー人に教えたいと思っても、お金をいただくことに躊躇する方もいると思います。まず無料で始めてもいいと思われるか、有料がいいと思うか、今井先生としてのアドバイスをいただけますか?
お金は絶対いただいた方がいいかなと思います。それまでにいろんな知識を習得するためにお金を払って、自分としてそこまで来ているというのがあるわけなので。あと、お金をもらわないと自分に甘くなっちゃうので、もらった分をしっかりとお返しするっていう意味でも、お金をもらった方がいいと思います。

以前、起業している先輩のプロフィール写真を撮った時に「お金はいいです」と言ったら、「1円でもいいからもらった方がいい」と同じようなことを言われて。そういうことかと思って、それからはちゃんといただくようにしています。
ーーでは、ご自身のプロとしてのステージを上げるためにどんなことをされてきましたか?
自信がないと価格も上げられないと思うので、資格を取得したり、何か受賞したり、フォトマスター検定っていうアマチュアの資格があるんですが、自分の立ち位置というのを再確認するためにも、それを毎年受けていったりとか…そういう感じでやってきましたね。
ーーちょっと自信がないというのであれば、資格や検定、いわゆる第三者のお墨付きを取得していくことで自信を自分につけていく、みたいなことが大事かもしれないですね。
そうですね。例えば作家さんだったら、今月は何人購入してくれたのかとか、そこで次の目標を自分で立てるとか。その目標を達成できたら、もうそこは「自分の階段を一段上がった」というふうに思っていただいて良いと思うんです。
好きな写真を”真似る”ことが上達への一歩
ーー書籍での発信も含めて、いろんなスタイルで「教える」ことをやられていて、その中にFANTISTがあると思うのですが。FANTISTのメリットをどう感じていらっしゃいますか?
FANTISTでは、人ではなく物を撮りたい方向けに配信をしています。静止画だけでは習得しにくい部分が動画教材となっているので、わかりやすいと思います。動画はFANTISTさんの方でしっかり作り込んでくださっていて、受講者さんに伝えたい情報が動画の中で完結していると感じています。
先日、受講者の方からある質問をいただいたのですが、私が回答したらすぐに受講者様向けの資料に反映してくださいました。そうしたスピード感や対応力が、見ている方のわかりやすさにつながっているんだと思います。
ーーカメラが上達するために必要なこと、ここを抑えたらうまくなるというポイントがあれば教えてください。
自分が好きな写真を見て、その写真がどう撮られているのかを観察して真似をするのはすごく大事かなと思います。で、真似をしても100%真似することはできないので、ちょっとずつ近づけていくことですね。

ーーFANTISTの生徒さんに、ご自分の動画レッスンを通してこうなってほしい、というようなことはありますか?
どう成長したのかを見たいですね。ビフォーアフターというか…「FANTISTの動画を受講して写真がこうなりました」という受講前との差を知れたら私もうれしいですし、そうした変化を見たらユーザーの皆さんも勇気づけられますよね。生徒さんの成長、変化を見るのが、やはり講師業の楽しみのひとつです。
プロフィール
今井しのぶ
写真家。株式会社こどもとかめら代表取締役。家族出張撮影、プロフィール撮影、ピアノ発表会・キッズダンス・キッズミュージカル撮影、各種撮影会を実施。カメラを通して子育てが楽しくなるような活動を続けている。受賞歴多数。また、著書も多数にわたる。2025年6月17日に『人物ポージングのレシピ帳』(玄光社)を発売予定。