正解より"自由な発想"を大切に ー 大人気キャンドル講師がレッスンを通して伝えたいこと
2025/05/23

キャンドルインストラクターとして活動し、FANTISTでも多くの動画レッスンを出品するTOKYO CANDLEさん。今回は大森ケンイチさんに、キャンドル作家をスタートしたきっかけやインストラクター活動を通じて感じていること、今後の活動などについてたっぷりうかがいました。
東日本大震災をきっかけに キャンドルの道へ
ーーではまずはじめに、大森先生がキャンドル作家をスタートしたきっかけを教えてください。
僕は元々地元の福島県相馬市で運送業を営んでいたのですが、2011年の東日本大震災で被災したことをきっかけに人生を見つめ直すようになりました。幸い家族や友人は無事でしたが、悲惨な被災地の様子や被害に遭われた方の話を耳にする中で"死"を身近に感じて「自分の人生このままでいいのかな」と考えるようになったんです。10代の頃に思い描いていた人生像とは全く違う道を歩んでいるな…と。

ーー10代の頃はどのような人生像をイメージされていたんですか?
中学生や高校生の頃はなんとなく、上京しておしゃれな仕事をしてお金持ちになって…みたいな華やかな暮らしを思い描いていましたね。決して大人になった現実に不満があったということではなく、仕事も順調でそれなりに充実した日々を送っていましたが、震災をきっかけに、この先も頭のどこかで「もしあの時上京していたら…」「もっと違う人生を送っていたのかな」と思いながら生きていくのはだめだと感じ始めたんです。
そんなある日、仕事中に流していたラジオから、キャンドルアーティストが地元で体験教室を開催するという告知が聞こえてきたんです。それが妙に気になって…「日本キャンドル協会の教室で学びました」と話していたのであとから協会のHPを調べたのですが、見た瞬間に「これだ!」と感じました。
ーー以前からキャンドルに興味をお持ちだったんですか?
それが特別な興味を持っていたわけではなくて、キャンドル=おしゃれなものくらいのイメージでしたした。協会のページで初めてキャンドルアーティストの資格の存在を知って…「この資格を取ってものすごく頑張ったら、自分の人生が変わるんじゃないか」と感じたんです。なによりキャンドルがものすごくかっこいいものに見えて一気に心を惹かれましたね。

ーー大森先生の直感が働いたんですね…!キャンドルに挑戦すると決めてからはすぐに上京されたんですか?
すぐにでも上京したかったのですが、代表を務めていた運送会社の引継ぎもあったので、それと並行する形でキャンドルの勉強やスタジオのオープン準備をして、上京したのは約2年後でした。準備期間の最初の数か月はキャンドルのレッスンを受けに週1くらいの頻度で東京に通っていましたよ。時間もお金もかかりましたが「キャンドルをやりたい!」という情熱と「人生が変わりそう」という希望に突き動かされていました。

ーー大森先生はキャンドルのどのようなところに魅力を感じていますか?
魅力はやっぱり自由なところだと感じています。インストラクターやアーティストにより考え方はあると思いますが、僕はキャンドルはどんな作り方をしても自由だと考えているんです。例えるなら料理と同じで、「野菜炒めを作ります」というとき、何の調味料を入れるかって人それぞれですよね。キャンドルと料理はそこが本当に似ています。インストラクターによって"これを作るときはこの技法"というやり方もありますが、僕らは"自由さ"を大切に、そこを楽しんでやっています。技法の種類もたくさんあるので、学び始めの方なんかにはよく驚かれます。そこも魅力のひとつですね。
遠方でも負担なく受講できるのがFANTISTの魅力
ーーでは次に、FANTISTのレッスンについて聞かせてください。FANTISTは動画レッスンのプラットフォームですが、普段対面レッスンをされている中で動画(非対面)で教える方法に不安などはありましたか?
我々のレッスンの受講者さんの中には遠方にお住まいの方も多くいらっしゃいますので、そういったケースを考えるとすごく良いシステムだなと思いました。話を聞いてすぐにうまくいくイメージが湧いたので不安は感じませんでしたね。僕はいつも「お客様にどんなメリットを提供できるか」を基本に考えているので、時間や交通費をかけて受講をされる負担を考えたら、FANTISTのサービスはお客様にとって価値がある画期的な方法だと思っています。

ただ対面でない分、レッスン内容がわからなかったりしても質問がしにくいといった部分があるかもしれませんので、疑問点や不明点があるときは本当に遠慮なく連絡してほしいです。「何回も質問するのは申し訳ない」とかそんなことは一切思わず、同じ動画でも受講される方の習得度合いなどによってわかりやすさは変わってくるかと思うので、いつでも気軽に質問してほしいですね。
ーー大森先生はご自身で開発された技法や知識を留めておくことなく、オープンにされていますよね。そこがすごいと思います。
お客様がレッスンに対してお金を払ってくださった以上、お伝えする情報に縛りを設けるのは違うと考えているんです。僕がこの仕事を始めたばかりの頃、思うような結果が出ずに、それこそキャンドルを辞めたくなるほど食べられないような時期も正直ありました。それでもここまでこられたのはお客様のおかげなので…お客様には本当に感謝しかないんです。

それに、自分の技法をオープンにしたからといって、ライバルが増えたとしても自分が負けなければいいだけの話なんです。僕はこれまで重ねてきた努力があるのでそこに対する不安は一切ないんです。やるからには1番を目指したいという本気の覚悟でやっているので(笑)。
キャンドル制作は自由な発想で楽しんでもらいたい
ーーでは、大森先生がレッスンを通じて受講者さんに伝えたいことはどのようなことですか?
キャンドルをレッスンで習ったとおりに作っていただくだけではなく、「この配合を変えて制作するとどうなるんだろう?」というようなクエスチョンを持ちながら取り組んでもらえたらうれしいです。動画で習得した技法をもとに、自分でアレンジしてみたら意外と上手にできた!というような成功経験を積めば積むほど、キャンドル制作が楽しくなると思うんです。

さらに、せっかくレッスンを受けて技法を学んだのであれば、キャンドルを"買う側"から"売る側"を目指すことを視野に入れてもいいですよね。キャンドルを上手に作る能力と売上を上げる能力は全く別物ですが、興味のある方にはそういった選択肢もあるということを伝えたいです。
ーー最後に、キャンドルインストラクターとして今後チャレンジしたいことを教えてください。
FANTISTのレッスンで実現したいことは、現状の手元だけを映したレッスンではなく、自分の姿を映してライブレッスンを録画したかのような動画を出品してみたいなと考えています。あとは数年前に出品した動画もどこかのタイミングでブラッシュアップできたら…という気持ちもありますね。
インストラクター活動に関しては、単発の体験型レッスンをやってみたいと思っています。沖縄などの観光地でもいいですし、都内であれば浅草のような観光客が集まりそうな場所でそういった教室をやってみたいですね。あとはお子さん向けのレッスンにも興味があります。とにかく今までとは違った新しいことに常にチャレンジしていきたいです。どんな形であってもインストラクターとしてキャンドルを伝承することを通して「キャンドルをやってよかったな」とか「キャンドルで稼げるようになりました」という人を一人でも多く増やしていきたいと思っています。
プロフィール
TOKYO CANDLE-orange label- 大森ケンイチ
福島県出身。キャンドルアーティスト兼キャンドルインストラクター。 2021年キャンドルブランド「TOKYO CANDLE -orange label-」を設立。数多くのオリジナル技法を発案し、年間約3500レッスン以上開催。 最大手キャンドルメーカー直営校のインストラクターとして、日本国内にとどまらず、アジアでのレッスンにも従事。その他、様々なキャンドル装飾監修等もつとめる。